交通事故後の原因不明の頭痛と体調不良、精神的不安

 

最近あった症例からとても良い結果があったものを報告します。

交通事故後に原因不明の頭痛と体調不良、精神的不安があった患者さんが来院されました。この方は交通事故の主治医から鍼灸治療を勧めるという、医師からの紹介状を持参されました。そして鍼灸治療について当院の評判を聞いて来院を決めたそうです。

 

労働時間が体調に強く影響するようで、毎日午後から頭痛がひどくなる傾向にありました。主治医の診察で頸椎の外傷性骨傷や神経学的な所見はなく、MRIの結果によって脳脊髄液減少症もないことが確認されていました。労働時間の影響から、筋肉の疲労や緊張によって、筋緊張性頭痛が起こっていることをまず想定しました。

 

当初は筋肉がリラックスできるように弱い刺激から施術を開始し、経過が思わしくないことから3回だけ、限定して低周波置鍼療法という、鍼を置鍼してそこに低周波を流すという、ペインクリニックなどでも採用されている方法を試してみました。残念ながらこの方法でも痛みの低下はあるものの、満足できるレベルにまで改善しないので、鍼の刺激は軽くして、お灸を併用して経過を見ました。ここから少しずつではありましたが、徐々に改善傾向がみられ、最終的に2つの出来事によってほぼ完治の状態になりました。

 

その二つの出来事とは、一つはMRIの結果によって脳脊髄液減少症が無いと確定診断されたこと。もう一つはコロナの影響によって2週間会社の出勤がなかったことです。この患者さんの体調について、事故のために起こったけがの痛みが、体への不安によって慢性痛に変化した可能性を当初から院内のカンファレンスで、話し合っていました。そして当院スタッフの対応もなるべく事故のことや体の痛みにフォーカスしない生活習慣を作ることを勧め、結果として施術中の話題も旅行やご家族の話をするようにしてくれていました。

 

そうしている間にコロナによる出勤停止から、ご家族との時間が増え自分の体に意識を集中しない時間が増え、また痛みを感じない時間も増えていき、不安が解消され慢性化した疼痛の治癒がみられたと考えています。

 

交通事故の対応は、経済的な理由などもあって複雑な社会的背景を持ちますが、当院では当院の役割として、患者さんの身体がどうすれば良くなるのかに集中して対応させていただいています。当然、医師と密接な連携を図り、法的な問題であれば知り合いの弁護士に対応を依頼しています。

 

 

患者さんにとって最も利益がある方法を選びますが、この患者さんの利益とは患者さんにとって一番苦しみが少ない方法という意味です。経済的利益を追求することが、患者さんにとっての幸せにつながることばかりではないと思っています。

 

もし、交通事故での痛みや体調不良でお困りであれば、一度ご相談ください。