コロナはどこで発生しているのか

 

PCR陽性者数と感染者といえる重症者数が大きく伸びてきました。

一般的に冬は、風邪の原因となるコロナウィルスが活躍しやすい季節でもあります。寒い時期は乾燥し、喉の奥の粘膜を乾燥させるのでコロナだけでなくインフルエンザの感染率も引き上げます。また、寒い時期は室内を換気する回数が減り、結果としてウィルスが長時間室内に漂うことになり、感染の危険性を上げてしまいます。感染の危険を避けるためにも30分に1回の換気と接触する部分(トイレの流水コック、水道のコック、ドアノブなど)の積極的な殺菌清掃も大切です。

http://www.hc.u-tokyo.ac.jp/covid-19/action2/

 

コロナウィルスの感染は接触感染か飛沫感染によって行われるといわれますが、エアロゾル感染の疑いがあるとされてます。 コロナウィルスは小さく(0.1μm)、サージカルマスク(一般的なサージカルマスクは3μmの大きさのウィルスは95%濾過するといわれている)をくぐり抜けます。しかし、コロナウィルスは飛沫といわれる直径5μm以上の大きさの粒子とともに空気中に放出され、飛沫は水分を含んでいて重いのですぐに落ちてしまいます。ソーシャルディスタンスの2メートルは、飛沫が届かない距離とされています。この飛沫は、サージカルマスクで防げるといわれているのですが、飛沫が付着したところに手などが当たり二次的な接触感染となる危険もあり、適度な距離を取ることは有効な感染防止方法です。

 

 

しかし、エアロゾル(5μm以下)は飛沫核と呼ばれ、大きさによってサージカルマスクでは防げない可能性があります。エアロゾルは軽く空気中を漂うため、換気をすれば感染を防止できる可能性が増します。長時間、同じ場所に滞在すれば危険ですが、食事をしている程度の時間であればエアロゾル感染は起こらず、手洗いとマスク着用とともに換気によって感染予防することができると考えられています。

https://www.clinicfor.life/articles/covid-049/

http://hica.jp/newcorona/mask&size.html

 

 

京都大学ウィルス・再生医科学研究所の宮沢孝幸先生は、手洗いで15秒間流水で手を洗えばウィルスの数は、1/100になり、コロナに対しても十分有効だと、新型コロナウィルス「1/100作戦」と名付けて発表しておられます。宮沢先生は、コロナは決して恐ろしいウィルスではなく対策を十分にすれば防ぐことができる、か弱いウィルスだと記事に書かれています。

http://trans.kuciv.kyoto-u.ac.jp/resilience/documents/criterion91_miyazawa.pdf

 

エアロゾル感染と空気感染を同じように考えている方もおられますが、これは全く違う感染経路となります。基本再生産数(R0)という数値があるのですが、これはある集団が未感染だった場合、一人の感染者が感染力を失うまでに、何人の感染者を作るかという数値です。空気感染するウィルスでは10を超えます(麻疹(はしか)12-16、百日咳12-17)。しかし、WHOの発表ではコロナウィルスは1.4-2.5と文字通り、桁が違うのです。

私は個人的に、細菌性の百日咳がどのように空気中を舞うのかとても興味があります。

 

 

 

さて、三密の回避として

1.密閉空間(換気の悪い密閉空間である)

2.密集場所(多くの人が密集している)

3.密接場面(互いに手を伸ばしたら届く距離での会話や共同行為が行われる)

という3つの条件のある場を回避することも大切です。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html#top

 

たくさんの感染例を統計学的に調べた方がおられます。JX通信社の松本 健太郎氏は、感染者の「数」が多いのは医療施設・福祉施設であり、感染の発生件数は、医療施設・福祉施設のほかに、事業所や店舗などがあると報告しています。感染事例一件当たりの感染者数が、事業所や店舗では5人程度であるのに、医療施設・福祉施設では15人と多くなることを指摘しています。

https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00067/120700043/?P=2

私の住む倉敷でも、50人を超えるクラスターとなった施設もあり、特にこういった施設では、高齢者が多いので重症化しやすく、急激な患者さんの増加は医療崩壊を招きます。我々もそういった医療施設や福祉施設に行くことがあれば、決して高齢者に感染させることのないように気を付けなければなりません。

 

政府はGo to travel やGo to eatを中止してお正月の感染者拡大に備えています。これは一つの方法として正しいようにも見えますが、ホテルなどの宿泊施設で感染者が多く発生している状況はなく、また公共の交通機関でクラスターが発生したとの報告は日本でもフランスでもないとのことです。(2020.6.10 Bloomberg Citylab)

https://note.com/niyalist/n/n60197f812a56

 

逆に、マスクができない飲食を伴う場所での会談(居酒屋での飲み会)や高齢者の集うカラオケ喫茶などのような、飛沫が大量に飛び回る空間で感染を広げています。そして繰り返しますが、ドアノブ、トイレやマイクなど感染した人がいれば必ず使用する場所に接触することが危険です。手洗いは非常に有効ですが、アルコール消毒を併用してこまめに手を清潔にすることが大切です。

 

新聞社やテレビ局などの報道機関は、コロナ感染を鎮静化させるためではなく、政府を批判することや視聴率を上げることを目的に報道を繰り返していますが、このような緊急事態なので本当に価値のある情報に絞ってほしいものです。

 

寿晃整骨院 総院長 木下広志