今日は寿晃整骨院を退職した元スタッフが開業相談にやってきました.

 

スタッフの退職はいろいろな状況で起こります.独立開業や(私から推奨しています),結婚や出産に伴う転居や社会人野球やプロスポーツの専業スポーツトレーナーになったスタッフもいます.残念なことではありますが整骨院ではない仕事につくために退職するものもいます.

 

今日,訪問してくれたスタッフ(Aくんとします)は,仕事上のストレスややりがいの喪失が原因で退職したと思います.そんなスタッフでも開業に際してアドバイスを求めてきてくれました.私としては若い彼らがどんなことを考えて行動しようとしているのかがわかるので楽しく対応させてもらいました.

 

Aくんは,別の整骨院で働き始めて1年と少し経過しました.寿晃整骨院のやり方とはずいぶん違う対応をしているようです.健康保険が使える症状であるかどうかの見極めや患者さんへの説明もなく,患者さんとの問診で問診票やカルテを使用していないとのことでした.Aくんの奥さんは医療関係者なのでカルテが無い施術があり得ないことも理解してくれました.

 

柔道整復師の施術では,健康保険を使用できるかどうかは明確な決まりがあって,スポーツや日常生活において筋肉や関節周辺の軟部組織を損傷したという原因が無ければ健康保険を使えないのです.前かがみになった時に痛くなったとか重いものを持ち上げようとした時,椅子から立ち上がろうとした時に痛みが発生したなどといった原因がある場合,健康保険を使用できます.

 

このように健康保険を使用するにあたって必要な知識を持っていないと患者さんに説明して理解していただいた情報が間違っていることになり,不正な請求として結果として患者さんにご迷惑をかけてしまうことになってしまいます.不正請求をすると最悪の場合,5年間の資格停止となり,開業しようとしても健康保険が使えない状態となり経営的にも難しくなります.

 

腕に自信がある柔道整復師は,健康保険を使用するためのルールが厳しいため,最初から健康保険を使用しないことを選択したり,理学療法士の先生が整体院を開業したりしています.患者さんを助ける技術があればどこでも頼りにされます.私もアメリカで多くの患者さんの施術をさせてもらいました.もちろん業として行ったわけではなく,お金をもらうこともなく,私の英語学習のために行ったことです.

 

さて,Aくんには家族が持つ建物の一部を使用して始めることになると思います.最初はなかなか難しいと思いますが,家賃などの経費も必要ないのでリスクがなく,奥さんが医療関係者で稼げる仕事をしているので十分生活はしていけると思います.アドバイスとしては奥さんにしっかり働いてもらって,Aくんはお風呂洗いと食事の準備と片づけをやりなさいと言っておきました.隣で智子先生が私のほうを見て,「おまえもなっ!」て顔をしていました.私も頑張ります.毎朝朝食の準備をしています.

 

Aくんのこれからの成功を祈ります.

 

寿晃整骨院 総院長 木下広志