コロナワクチンの接種が始まりました

 

岡山県でもワクチン接種が始まりました.当院の患者さんからも相談を受け,ワクチン接種予約の手助けをさせていただきました.医療機関では電話が鳴りやまず大変だったと聞いています.

 

ファイザー社とモデルナ社のワクチンの差は少しあるようです.「山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信」のホームページによると副反応と呼ばれるワクチンによって起こる体の反応ですが,以下のようになっているようです.このような副反応は接種当日から翌日の急性期に多く報告されており,1~2日で軽快するといわれています.

副反応について過敏になっておられる方も多いようです.副反応の症状は,注射後の痛み,体のだるさ,頭痛,発熱などです.

 

一回目接種 モデルナ社 ファイザー社
接種部位の疼痛 約71% 約64%
倦怠感・頭痛・筋肉痛 約20% 約20%
悪寒・発熱 約10% 約7%

 

二回目接種 モデルナ社 ファイザー社
接種部位の疼痛 約78% 約67%
倦怠感・頭痛・筋肉痛 約50% 約40%
悪寒・発熱 約40% 約20%

https://www.covid19-yamanaka.com/

 

さて,この予防効果は,95%(2回接種)あるそうで,予防期間はファイザー社は3週間,モデルナ社は4週間となっているとのことです.信州大学医学部附属病院感染制御室・金井信一郎副室長はヤフーニュースで両者のワクチンについてそれほど気にする大差ではなく,アナフィラキシーなどの重篤なアレルギー症状が出る確率もほとんど変わらず,アナフィラキシーは,まれな反応と考えていいとおっしゃっています.

https://news.yahoo.co.jp/articles/7ca8ebede92806ebb36eaf4eb73a55b385389684

 

 

岡山県輩出の国会議員である加藤勝信衆議院議員は安倍政権時には厚生労働大臣で,現在,菅内閣で官房長官といういわゆる三役の一角を占めており,さらに倉敷市・早島町選出の橋本岳衆議院議員も令和2年まで厚生労働副大臣でした.ワクチンに対しても国会議員から自治体に対して早く国民に接種を行うよう,強力な圧力がかかっていると聞きました.岡山県の政治家も強力な方々がそろっています.

 

菅総理大臣はアメリカに行ってバイデン米国大統領との日米首脳会談を4月16日から150分間行いましたが,この会談とは別にファイザー社やモデルナ社などと協議をして,ファイザー社からはすでに,年内1億4千回分を契約しているが,さらに追加でワクチン1億回分を引き出し,16歳以上の国民全員分に関し「9月までに供給されるめどが立った」と表明したと報道されています.

https://www.hokkoku.co.jp/articles/-/386652

https://www.toonippo.co.jp/articles/-/505046

 

高橋洋一氏が日本の感染者は「さざ波」だとtwitter上に書き込んだとされていますが,感染者数は100万人あたり日本が,5,780人,アメリカ合衆国100,271.6人イギリスが66,083.8人となっています.アメリカは日本の17.3倍,イギリスが11倍です.

https://web.sapmed.ac.jp/canmol/coronavirus/death.html?s=y&n=j&f=y&c=1&p=1

https://www.youtube.com/watch?v=2R3e52qQiLE

 

100万人あたり死者数は,日本が99.4人,アメリカ合衆国が1788.3人,イギリスが1885.7人で,アメリカは日本の17.9倍,イギリスが18.9倍です.海上保安庁のホームページによると,さざ波は10センチなので,アメリカやイギリスの波は1mから2mとなります.これは「かなり波がある状態」に分類されています.波の大きさは,アメリカの波に比べれば,日本の波は,さざ波と言えそうです.累計死者の数はアメリカが59万人,イギリスが12万8千人と日本の1万人と比べても桁が違います.

https://www.kaiho.mlit.go.jp/10kanku/aburatsu/mics/05.kaijouhoandayori/uminohitokuchi/nami-uneri/nami-uneri.htm

 

日本の約1万人の死者数もPCR検査陽性で亡くなった方は全員カウントされるので,いわゆる老衰や他の病気で亡くなった方も含まれている可能性があります.この計算方法としてコロナが流行している時の死者数とそれ以前の死者数を比較してみるとコロナの影響が見えてきます.これを超過死亡数(少ない場合は過少死亡数)というのですが,これで見るとコロナの影響で日本全体の死者数は約9千人減少しているそうです.新型コロナウイルス対策でマスク着用や手洗い、手指消毒などが広がり、他の細菌やウイルスが流行しなかった影響で他の感染症が流行せず、コロナ以外の肺炎やインフルエンザの死亡数が大きく減少したためとみらています。死亡数は高齢化で年平均2万人程度増えている状況にかかわらず,減少したのは11年ぶりとなっています.

https://news.yahoo.co.jp/articles/84550d7287a4f22c36cf679443c140780266b960

 

 

岡山大学で先週の講義では,医学部教授が危険意識を持って病院の状況についておっしゃっていました.それによると現在も岡山県の病院はコロナの重症者用病床のひっ迫状態が続いており,命の選別が起こりかねないそうです.5月20-26日の県の発表によると県内の重症者病床稼働率は 56.4% (34床/55床)で,先週の69.7%(30床/43床)に比べると落ち着いてきたのかなと思ったのですが,分母の重症者病床を12床増やしたようです.県も医療機関も頑張ってくれているようです.ありがたいですね.緊急事態宣言が出ているのも,病床がひっ迫している現実からみれば,命の選別が起こることがないように我々ももう少しの間,我慢するべきだと思います.

https://www.pref.okayama.jp/kinkyu/645925.html

 

最後にワクチンを打つとどのような変化があるのかについてまとめたいと思います.

 

東洋経済社の記事(4月21日)によると,イギリスでは接種開始から約4カ月経ち、

1日当たり新規感染者数

約8万1000人(昨年12月29日)→ 1,882人(4月18日)に

1日当たり死者数

1,357人(今年1月19日)→ 10人(4月18日)

となり,まさに「激減」したと言っていいだろうと記事では述べています.

https://toyokeizai.net/articles/-/424062

 

一番成績の良かったのはイスラエルで,ワクチン接種率が60%付近から急速に感染率が減少しています.ワクチンっ接種率が40-50%を超えるあたりから,どの国でも感染率が下がっているようです.(札幌医科大学医学部 附属フロンティア医学研究所 ゲノム医科学部門HPより引用)

 

ざっくりと1日当たりの新規感染者数が1/40に,死者数が1/135になったということから,ワクチンの効果は絶大です.ワクチンは異種のDNA(RNA?) を身体に入れるからなのか,インフルエンザのように鶏卵を使うからなのかアレルギー反応が起こることがありますが,接種後30分くらいその場所で様子を見るそうです.

死亡する可能性が,1/135になることからも受けた方がメリットが大きいと思います.

 

菅総理大臣もわざわざアメリカまで行ってワクチンの追加をお願いしてくれました.これにより若い16歳以上の世代全体に,9月までにワクチンが行き届くことになります.若い年代では,コロナの重症化は無いのかもしれませんが,リスクの高い方にウィルスを伝播させる感染源としての可能性があるので,仕事をしている可能性がある16歳以上とすることと,大学受験などの影響を考えても良かったと思います.

 

東京オリンピックがどうなるか,日本全体が二つに分かれて論争しています.論争できる国でよかったと思いますが,スポーツ選手にとって,特にオリンピック代表として選ばれるレベルの選手は人生をかけてここまで頑張ってきたのです.貧困な国の選手は金メダルを取れば家族を含めて一生食べていけるのではないでしょうか.確かにコロナで失われる命があってはいけませんが,命を懸けてでも出場したい選手がいるのも事実です.

 

オリンピックをしなければ,感染者が減るという因果関係があるでしょうか.私はみんながテレビ観戦をすることでステイホームにした方が減るのではないかと考えています.この期間はなるべくオリンピックをテレビで見ることが,感染を防ぐのではないでしょうか.仕事でたくさんのスポーツ選手にかかわってきてきたことからも,彼らに参加する権利だけは与えてあげて欲しいと思います.

 

ただ,IOCやJOCは,まだまだできることがありそうです.