日本接骨医学会で発表しましたが…

11月14日に日本接骨医学会で発表してきました。

私がやっている研究は、柔道整復師や鍼灸師がどのように行動すれば、日本の医療に貢献できるのかということです。当院で働く若いスタッフ、OB、朝日医療大学校で教鞭をとらせていただいたときの生徒たちが自信を持って柔道整復師や鍼灸師として仕事をするためにも、私は研究成果を発表しなければならないと考えています。

今回は、東京の池袋にある帝京平成大学で二日間にわたって行われた学会に参加したのですが、ホテルを会場より少し離れた目白駅周辺にとりました。Yahooトラベルで「池袋」のキーワードで検索して最初に出てきたホテルを選んだのですが、タクシー代を考えると近い方がいいですね。もっとよく調べればよかったです。ただ、良かったこともあります。夕食を楽しむことができました。

夕食を食べるためにホテルの近くを散策し、孤独のグルメという番組の主人公がお店を見つけるプロセスを真似て、男一人でも入れそうなお店を選びました。

そこは、「五城目」という秋田料理の店でした。

女将さんらしき人に「いいですか?」と聞くと「いいよ!」と元気な声が返ってきました。カウンターに座り、メニューを見るときりたんぽ鍋が名物のようです。隣の二人組の方もそれを食べているので、私も一人前を頼もうとしましたが、隣の方の鍋がかなり大きいのに小サイズだったそうで、私も小サイズにしました。

女将さんが、何食べるの? 何飲む? と細やかに私に話しかけてくれたので、とても居心地のいいお店でした。女将さんは98才ということで、「あと2年で100才なのよ」と5分に一回教えてくれます。たまに、97才になったりします。そしてこちらの言ったことはほとんどわからないようでした。

このお店は一人息子が小さい時に始めたのよ。秋田に帰ろうと思ったけどみんなが助けてくれて何とかここまで頑張った。ここはBARじゃないんだから、このカウンターの仕切り(コロナ対策)が邪魔でどけたいのよ。」とお話を聞いてうなずいていました。私のことなので「BARみたいなもんだよー、婆がやってるんだから」と言い返してみたのですが、あまり本人には伝わりませんでした。周りのお客さんは大笑いしてくれましたが…。

家族の方が女将さんを支えておられる様が良く見えました。息子さんのお嫁さんだと思いますが、体力が落ちているお母さんを懸命に支えておられました。

隣に座った女性の二人組ともお話しさせていただき、とても楽しい時間を過ごすことができました。この方は86才といっておられましたが、私と同じように50才の時に大学の法学部に入学し、修士課程まで修了されたそうです。目がはっきりとしたしっかりとした方でした。明日の研究発表がんばってね。と声をかけてくださり、元気をもらった気がします。

さて、研究発表ですが、今回のテーマは

  1. 整形外科と整骨院の患者さんのニーズは似ていると思われる
  2. 他の診療科の患者さんの動きとは明らかに違う
  3. 痛みを持っている患者さんと日常生活に影響する痛みを持つ患者さんの受療行動

という3つのデータと先行研究から、整形外科と接骨院の患者さんは、ニーズは似ているけれども実際の受療行動は違っていて、整形外科を選択する患者さんと接骨院や鍼灸院を選択する患者さんは、患者さん本人のニーズによってセパレートされているという研究結果を発表しました。

患者さんがセパレートされているなら、整形外科と接骨院は代替関係ではなく、補完関係であり、医療連携を進めなければならないと考えています。

寿晃整骨院のデータでは、コロナ前の集計ですが、5つの院合計で毎年100軒を超える患者さんを医療機関に紹介させていただいてきました。平成27年は浜ノ茶屋本院だけで100を超え、その中には数名のガンの方も含まれていました。

関節の靭帯損傷や変形関節症によって手術になった方も多くおられます。寿晃整骨院のスタッフである私たちは、自分たちの業務範囲をしっかりと認識して、患者さんに最適な治療機会が得られるように行動しています。

さて、発表のほうですが、先ほどの三つのデータから考察しておけばよかったのですが、医療連携において紹介状が必要だということが言いたくて、それを追加しました。何度も練習をしたのですが、8分間では到底できないことを後から理解しました。

その為、発表全体がぼやけてしまい、自分の言いたいことが伝えられなかったと反省しています。研究発表することはとても難しかったですが、良い経験ができたと思います。時間配分によっては、情報を捨てなければならない。一番言いたいことに集中しなければならないことが良くわかりました。

エジソンは「私は失敗したことがない。 ただ、1万通りの、うまく行かない方法を見つけただけだ。 私たちの最大の弱点は諦めることにある。 成功するのに最も確実な方法は、常にもう一回だけ試してみることだ。」と言ったそうですが、私がエジソン並みになるなら研究発表を1万回失敗しなければなりません。

がんばるしかないですね。

寿晃整骨院 総院長 木下広志