スタッフ向け「腰痛の勉強会」を開催しました

寿晃整骨院では、例年定期的に勉強会を開催してきました。最近はコロナの影響もあって、開催を遠慮していたのですが、全国の新規感染者数も200人台、岡山県も一桁となったことから、スタッフのワクチン接種が全員完了している浜ノ茶屋本院にて、久しぶりに開催することができました。

腰痛といっても原因による違いがあるので、その考え方と分類を学びます。

まず、除外しなければならない危険な腰痛があります。これはRed Flagと呼ばれる命に危険のある痛みに分類される怖い腰痛についてまず学んでもらいました。

これらは、頭文字をとってFACETといいます。

Fracture———–圧迫骨折

Aorta————–腹部大動脈瘤/大動脈解離

Compression——馬尾症候群(便や尿がマヒして止まる)

Epidural abscess–硬膜外膿瘍/脊椎炎/脊髄炎

Tumor————がん脊椎転移

これ以外にも尿路結石や婦人科疾患があり得ます。

圧迫骨折については、いつのまにか骨折と呼ばれることもある、たまたまレントゲン写真を撮ってみると骨折が写っており、症状もなくいつの間にか治ってしまっているような全く問題のないものから、炭鉱での落盤や交通事故によって起こる脊髄損傷を伴うような重篤なものまで幅があります。しかし、圧迫骨折であれば必ず医師に紹介するようにしています。

脊椎炎とがん脊椎転移も医師に紹介したことが数例あります。これ以外にも狭心症や心内膜炎といった症状で来院された患者さんもおられ、そのような症例を報告しながら、どのように見分けていくかを若いスタッフと学んでいきました。

問診の流れとしては、体の動きや痛くなった経緯、痛みの場所、痛みの起こる動き、タイミングを考慮していくことでかなりの原因をとらえることができます。ただし、医師の診察においても85%の腰痛は原因が不明で「非特異性腰痛」であるともいわれていました。しかし、整形外科医による検査の精度が上がったことにより2019年5月に発行された『腰痛診療ガイドライン』の改訂第2版では、「75%以上で診断が可能」と書かれ、残る25%のみが原因不明とされています。

寿晃整骨院で行う検査は、徒手検査や理学検査という、医療機関で一般的に行われる医療機械を使用しない検査をリスペクトしていますが、医師とは違ってレントゲンやMRIなどがあるわけではないので、そのような検査が必要ではないかと疑う場合、すぐに医師への紹介状を書いて受診をお願いしています。

寿晃整骨院では、徒手検査や問診の過程で見つかった痛みへの施術の考え方が違ってきます。医師は、注射や薬、手術といった治療方法を一般的には使いますが、これらの方法を使えない寿晃整骨院では、骨格や骨盤の調整、筋膜リリース、筋肉への刺激といった方法を使って痛みの除去を行っています。

今回の勉強会では、次のような項目をチェックしつつ、患者さんの腰痛の原因を見つけてもらえるように伝えることができました。

身体の可動域

痛みの始まった時期

痛みの起こった原因(どこが痛いか[触って、叩いて、動いて、安静時] )

痛みのある場所(どこが痛いか[どんな時に、どんな動きで])

痛みの種類(どんな痛みか[鋭い、鈍い、疼く、痺れる、耐えられない])

腰痛に関連する原因はあるか(既往外傷、既往病歴)

過去に同じ痛みがあったか

体形(ストレートバック、前弯増強性腰痛、側弯)

年齢

性別

現在飲んでいる薬

皮膚の状態(カサカサ・ガサガサ・湿・乾燥)

腱反射

筋力テスト

書いてみると、チェックしている項目が意外と多いことに気付きました。

今日、勉強会に参加してくれたスタッフに、「何か患者さんの見方が変わりましたか」と尋ねたところ、院長がやっている検査の意味が分かるようになり、深く考えるようになったと言ってくれました。

うれしい反応です。

寿晃整骨院 総院長 木下広志