なかなか収まらないコロナウィルス

コロナウィルス感染症について最近のトピックをお伝えします.岡山県の感染者数は7月初旬に数十名にまで減少していましたが,8月1日現在で500名を超えています.今後かなりの勢いで増えてきそうです.日本全体では今まで一番多かった第4波の5月15日(78,612名)を超え8万人となりました.第5波の増加率はとても高いので人数はかなり増加すると見込まれ,今後2週間程度は増え続けると思われます.

https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/tokyo-corona/detail/detail_93.html

しかし,あまり悲観的にとらえることはありません.重症化のリスクが低くなっているからです.ワクチン接種,感染する年代,コロナ治療の進化などの影響で岡山県の重症化病床の利用率は7月28日現在で5.2%(3床/58床)ととても低くなっており,すぐに医療崩壊とはならない数値です.5月の第4波の時には70~80%だったので,講義で教えてもらっていた岡山大学病院の医師もあわてていたように見えました.ワクチンの効果は大きいですね.治療方法も進化しているようです.感染者が増えるとある一定の重症者が出ます.その重症者が入院できないときに命の選別が起こることが恐ろしいとのです.それが医療ひっ迫で,東京では人口が多く,人口密度も高いので医療関係者が心配しているところです.

https://www.pref.okayama.jp/page/724270.html#02-kennaijoukyou-iryoutaisei

高齢者に対してはワクチン接種の効果があったと考えられ,介護施設での感染クラスターが減少しました.今回の波の特徴は30代以下の感染者が多い(約60%)ことです.東京の感染は50%以上がデルタ株になっているといわれています.この変異株による感染力の強さは,一人の感染者が何人に広げるかという実効再生産数という数字で表されます.従来のコロナウィルスは約1.5人でしたが,デルタ株は約5人と3倍程度になっており,空気感染するタイプのウィルスと大差ありません.

デルタ型の感染力が強い理由として、従来の新型コロナウィルスよりも感染者の体内でのウィルス量が1000倍以上多くなり,感染者が周囲に撒き散らすウィルスの量が増え,さらに、ウィルスを排出する期間も長くなる可能性が示唆されています.

https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20210801-00250999

 イギリス由来のアルファ型,インド由来のデルタ型,ペルー由来のラムダ型とどんどん変異していくのが,ウィルスの特徴です.そして変異が繰り返されることで,どこかの時点で感染力は強いが症状は軽いウィルスになって落ち着くと考えられています.なぜなら弱毒化することが,ウィルスが生存するために一番適した戦略だからです.エボラ出血熱のような強いウィルスでは宿主が死んでしまい,隔離したり,予防したりされるので,広がることができません.宿主を健康に保ち普通に移動してもらうことが,ウィルスが生き残るのための正しい戦略なのです.新しいデルタ株では,感染に対してはワクチンの効果が落ちるとされていますが,重症化リスクは有意に下がるようです.

以上のような状況で,感染者数は多いのですが若い世代の感染が多いので,重症化した患者数は減少しているようです.今のところ,岡山県においてはコロナ重症化病床はひっ迫していないので医療体制は維持されています.本当にありがたいことです.今後,状況が変化するかもしれませんので個人でできる対策をとることが大切です.

寿晃整骨院 総院長 木下広志